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神保町映画祭リターンズ/『父と母の父と母』作品 映画祭スタッフのレビュー

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『新しい映像表現にチャレンジした作品』

現代を生きる父母世代、祖父母世代の生活を学生が記録した貴重な映画だと思いました。
画面を分割していることによって、二つの家庭を比較することでき、たくさんの共通点や相違点を見つけることができました。父親がパソコンを開いて何かにチャレンジしようとしているシーンは、高年齢の視聴者の方にとって、新たな一歩を踏み出すきっかけになるのではないかと思ったりもしました。新しい映像表現にチャレンジをしているこの作品にすごく刺激を受けました。
(レビュー担当:堀口)

「父と母の父と母」 27分18秒 監督:前田清也


配信期間:1/19(金)~1/25(木)
配信URL:http://www.nicovideo.jp/watch/1515006922
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<あらすじ>
この作品はドキュメンタリーです。
映画は左右2画面で構成されており左は大阪、右は鹿児島で撮影された映像が流れます。音声も同様で、左からは大阪の音、右からは鹿児島の音が聞こえます。
本作品は5年前に撮った映像で構成されています。5年前に自分の祖父母を題材にした作品「今なう」を制作しました。「今なう」は祖父母にipadに映る初音ミクのライブ映像をみせる、そして今と昔の環境、社会、生活の違いについてそれぞれの観点から話をしてもらうという内容でした。わたしには父方の鹿児島の祖父母、母方の大阪の祖父母がおり彼らの生活環境は、使っている家電、食べているもの、洗濯物の干場からあまりに多くの違いが見て取れ、当然その環境で生きていく上で育む感覚の違いというものがあるのだろう、その違いを良いとか悪いではなくそこにあるものとして映像に収めようというのがこの作品の狙いでした。しかし結局、制作した「今なう」を公開することはできませんでした。フラットな立場から双方の違いを収めたかった撮影当初の思惑通りにはいかず、作られた作品はどこか制作者の意思に先導された曲がった作品に仕上がってしまった気がしたからです。
それから5年が経ち改めて「今なう」を観てみてもその感覚は変わらない。しかし、その他の使われなかったカットを観てみると今となっては撮れなくなってしまったカットが膨大に残っており、そこには「今」を生きていた「祖父母」が確実に映っているのでした。
その映像を吟味し再度構成しなおしたのが「父と母の父と母」です。
自宅の茶の間にいながらipadを使ってボーカロイドの初音ミクが大勢の観衆の前でライブを行っている映像が楽しめる。楽しめる?それって本当に楽しいのだろうか。世の中あらゆる側面での進歩、革新が起きてできるようになったことが多重に重なってとにかく忙しく私たちの生活に押し寄せている。食事、洗濯、移動、どれをとっても昔に比べたら便利になったことに疑いはない。しかしその便利の波状攻撃は果たしてこれからどこまで日々の生活の中まで介入しどこまで人々の感覚を塗り替えてゆくことになるのだろうか。人生の先輩でもある自分の祖父母に彼らの知見から感じる今と昔の違いについて、そしてこれからのことについて尋ねてみたくなった。人間ができるようになったこととできなくなったこと。
付け加えると、この映像に映っている彼らは5年前の彼らであって、今となっては彼らにとってできなくなってしまったことがたくさん映っている。祖母は料理をしなくなったし祖父は喋るのがますます遅くなった。車は運転できなくなったし野菜ももう育てていない。洗濯は今どうしているのだろうか。すっかり変わり果ててしまった彼らの生活にこの度再度自分自身の生活を重ね合わせ、ここに「今」という目印を置きたくなって作った作品です。

<キャスト/スタッフ>
出演:本田寿子
本田章三郎
前田タミ
前田光男

撮影・編集・監督:前田清也

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